第二回「美術教育ってなに?」ゼミ開催しました!


**************************** ●第2回『美術教育ってなに?』ゼミ開催!!●
●テーマ:「見るということ~感受から表現へ~」

●開催概要●
日時:1月31日(土) 時間:17:30~ 場所:元住吉 アトリエ5

●当日の流れ●
17:00 開場
17:30 ゼミスタート       
イントロ&自己紹介
18:00 「たのしみは」短歌ワークショップ!
18:30 座談会1時間(フリートーク)
19:30 終了、交流会開始
21:00 解散

●自己紹介タイム●
前回に引き続き、今回も様々な分野の学生(デザイン、おもちゃ、社会起業、教育、環境 政策、環境教育、保育、経済、建築、福祉,,,)が集まり、にぎやかな自己紹介になりまし た。

●「たのしみは」短歌ワークショップ●
ワークショップのイントロは、辻先生が絵本の勉強をしていた時の絵本勉強会との出会い のお話から始まりました。辻先生はその過程で山本まつよ氏の『子どもと本』という冊子 に出会ったそうです。今でも時々読み返すほど心の指針になっている冊子で、編集をなさ っている山本氏にも何度か会いに行かれたとか。銀座にある教文館の6階児童書専門コーナ ーに置いてあるそうなので、お近くに行かれた際には是非。私も早速行ってみようかな? この日は、辻先生がその冊子の中で出会った橘曙覧という歌人の「独楽吟(どくらくぎん )」という連作の試みを、私たちも体験しよう!という内容のワークショップでした。 さっそく短歌ワークショップのスタート。短歌の五七五七七のリズムに合わせ、「たのし みは(ではじまり)~とき(で終わる)」の歌をみんなで作りました。では…、恥ずかし ながら、ここで私のつくった歌を紹介します。 「たのしみは まちで偶然ともだちと アッと出会って 笑いあうとき」 こんな感じで、それぞれ自由に和気あいあい短歌にトライしました。この時点で、絵画教 室なのに、なぜ短歌??という疑問を持った人も多かったようです。(笑)ただ、それも 辻先生のお話しで意味が分かりました。 それは、「短歌でみんなの普段の暮らしの中にある楽しみをよ~くみることこそ、まさに 美術教育のエッセンスであるところの”見ること”である」ということでした。それが今回 のコトナゼミの“テーマ(ねらい)”だという辻先生の発想に、度肝を抜かれた私でした。

●座談会フリートーク●
座談会では、おにぎり(コトナで手づくり!)やお菓子を食べながら自由に語り合いまし た。その中で出たトピックは下記の様なものでした。主に、辻先生がそれに対してどのようにおっしゃっていたかも簡単に添えておきます。 【美術教育の意義について】 やわらかく鋭い感性・感度(人間としての感じるチカラ)の育成がその一つ。例えば、「出かける際に玄関で見送りをしてくれた際の母の顔のやさしい微笑み」「登校するときに見かけた道端の花の美しさ」など、日常的にきちんと受け止められずに、見過ごされてしまいがちな物事をきちんととらえる視点「=よくみるチカラ」を持てる様になる事。 【学校の美術教育がキット化されている?!】 教材も授業のプログラムもキット化したものをそのまま使っているところが多い。背景としては、美術の授業時間が削減されている事や、美術(または図画工作)専科の先生を置いていない学校が多いため、先生に指導技術の専門性が無いことなどがある。これによって、本来行なわれるべき創造的な美術表現の経験が制約されてしまうのではないか。 【抽象画とシュールレアリズムの違いってなに?】(三角/コトナ) ・抽象画は現実には存在しないモノ。シュールレアリズムの世界は現実的ではない状況を描く。って事。もちろん両方が混合したものもある。そんな感じじゃないかな??(by渡辺/コトナ/) ・アトリエ5でやる空想画のイメージはそんなに難しく考えていない。ただ自分の中の言葉にならないもの、例えばオルゴール、音楽、詩をみんなで聞いた時の感覚やイメージを表現してみるという機会があるだけ。絵の本質(何を表現するか)はその子自身が考えること。 【描いた絵を飾ることが大切】 描いた絵を飾る事で、他人の目に触れる事ができる。家庭で飾る習慣をつけて欲しい。家族や友人など、周囲の人の「鑑る目(次回のテーマ)」を育てる事にもなる。その作品の向こうに作者を見ようとするチカラは、いろいろな場面で大切な事。また、子ども同士で描いた絵を共有する事で他人の表現方法や世界観に刺激を受けたりする事も大切。   【絵を描く時の必然性、ものがたりが重要】 例えば、花を描くとしても、その花が咲いた過程を話したり、その季節を感じられるものを描く方がいい。一年中色の変わらない造花やリンゴを描いても「よくみるチカラ」はつかない。ただ一方で、技術的なトレーニングのために、必然性がないモチーフが必要な時もある。 【お友達の真似について】 他人の表現に影響を受けること自体は悪い事じゃない。ただ、その表現を借りてきて楽をしないこと。他人の表現に流されないためにも、それを自分のものにした上での「自由な表現のための技術」が必要。 ※アトリエ5では小学2年生から、技術的な土台づくりのために鉛筆デッサンを習います。 など…、一見内容だけ見ると真面目そうな雰囲気ですが、 実際は、ゆるーく 楽しーく、美術について話し合いました★ みんなお話しは絶えないので、そのまま交流会…!! こんなふうに様々な分野の方とお会いできる機会ってめったにないし、刺激的で面白い。 そして、参加して下さった人は、みんないいひとで親身に話しを聞いてくれる。 とても、あたたかいゼミでした。 今回参加できなかった方も、連続参加して下さった方も、是非次のコトナゼミに参加して くださいね。きっと、新たな発見や面白さと素敵な出会いがあると思います。 しかも、第三回は3/7(土)「アトリエ5作品展」会期中にて開催です!! (詳細はNEWSに掲載します。) 乞うご期待!! 今回は、楳図かずお氏と同じ誕生日の久世彩子がレポートさせていただきました。 ****************************** 久世彩子